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2011年2月 7日 (月)

就労支援のための診断書様式の変更(精神障害者保健福祉手帳)

 (Nさんからきっかけの情報いただきましたhappy01

“共に生きる社会”を実現するための唯一のそして最もお金のかからない方法は、“共に学ぶ学校”を実現することです。しかし、なかなか変わらない分離社会の中で、相変わらず国も苦労しているようです。

そんな中で、有効利用できそうなのがこの話題です。手帳が無くても就労支援の一部は受けられますが、手帳を持っていなければ利用できないものもあります(障害者雇用率のシステム)。障害者雇用率のシステムの恩恵を得ることができたのが、身体障害者手帳を持っている人にかなり限定されていたのは、主に企業側の都合によるのですが、障害者雇用率の計算式の対象には精神障害者保健福祉手帳所持者が実は数年前に入っています(平成18年)。この時、療育手帳をもらえない自閉症者も雇用率にカウントできるようにしようと厚労省が動いたわけです。ところが、精神障害者保健福祉手帳の申請のための診断書に発達の偏りに関する記載項目がなかったので、手続き上の混乱が生じました。そこで、やっと昨年(平成22年)12月に厚労省が変更のための通達を出しました。これで診断書の中に自閉症者の特徴に関する項目が設けられることになります。

療育手帳を申請しなかった、申請してももらえなかった(高IQの場合)、あるいは療育手帳のAをもらえなかった自閉症者は、精神障害者保健福祉手帳を持たなければ、障害者雇用率システムなどの恩恵を受けることはできないのですが、この診断書の変更で精神障害者保健福祉手帳の申請がかなりスムーズにできるようになります。選択肢が増えたという意味では改善と考えることができます。

また、新様式には、学習障害や高次脳機能障害に対する配慮もみられ、学習の困難、遂行機能障害、注意障害などの項目も追加されます(施行は平成23年4月の予定)。

手帳を取得するかどうかは、メリット、デメリットがあるため、当事者たちの考え方で自由ですが、人生において必要性を感じる時もあるでしょうから、公的サービスの幅を広げる精神障害者保健福祉手帳というオプションがあることを発達障害者の方、御家族、支援者は、知っておられたら良いと思います。

(S.I. & N.I.)

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