DSM‐5における改善点(自閉症について)
DSM-5が、2013年5月22日、出版の形で発表されました。
自閉症に関しては、ドラフトのときから、かなり改善されていましたので、DSM-5 のドラフトにみられる改善点として、2012年12月に本ブログで紹介してあります。その4つの改善点は、そのままでしたので、ほっとしています。
改善点1:単一遺伝子疾患であることが判明したRett's Disorderをはずしたこと。
改善点2:他の4つのサブタイプ(自閉性障害、小児崩壊性障害、アスペルガー障害、PDDNOS)の診断名がなくなり、自閉症スペクトラム障害として、統一したこと。
改善点3:社会的要求が(本人の)制限されたキャパシティを超えるまでは表面化しないかもしれない。と付記したこと。
改善点4:DSM-IV-TRまでは,社会的な相互作用とコミュニケーションに関する項目の両方に質的な(qualitative)障害があると記載されていましたが,社会性とコミュニケーションの項目を社会的コミュニケーションにまとめたことに加え,この質的という言葉が消えたこと。
また2回目ドラフト(2011年1月26日)での改善点は、
改善点5:感覚過敏などの感覚インプットの問題をこだわりの中ではあるが、明記したこと。
そして、今回の決定での新しい改善点は、
改善点6: 改善点3の後に、あるいは、のちの人生で獲得した戦略によってマスクされているかもしれない。という表現が追加されたこと。です。
質的ではなく、量的なものであること、一般集団につながるスペクトラムであること(崩壊する子どもなどいなくて、単に退行現象を見ていたことへの気づきも含む)の考え方が、明記されてはいませんが、根底にあると思え、そうであるならば、私共の考え方と一致します。また、社会的要求の圧力で大人になって表面化したり、獲得した戦略(スキル)により、ずーっと気づかれないままであったり、なおったと勘違いされることがあることに気づいてくれています。
その他、本人が困らなければ診断されないという立場をとり、サポートの必要度で、レベル1から3をつけるようになっています。
また、DSM-5からどうやら軸が消えたようです。
(N.I.)